今は、平日の午後である。そして、私は家にいる。
月~土曜日働いている私にとって、平日のこの時間に家にいるなんて言うことはまずなく、震えるほどにうれしい。
いや、別にうれしいわけではないけどちょっとくらい小躍りしたいくらいのうきうき感は否めない。
別ににやにやするために早退させてもらったわけではなく、見張りをしているのである。
昨年、とよこちゃんが遊びに来てくれていた時のこと。急にトイレが使えなくなってしまった。使えるのだが、タンクに水がたまらなくなってしまったのだ。何度か大家さんにトイレが壊れた旨伝えたのだが、「今度修理のものをよこすぜ」と言ったきり、何事もなく。実際には修理のおっちゃんが来たらしいのだが、私が家に不在だったりなんだりでおおかたこのたび「トイレ使えなくなって1周年」をむかえそうだったところ、メヒコ人の友だちにその話をしたら、
「あかんやん。そんなん、家賃払ってる場合ちゃうで。」
と言われた。そして彼女のアドバイスは2つ。
①直してくれるまで家賃を払わない。
②勝手に直してかかった費用を家賃からひいて家賃を払う。
多少強引ではあるが、人を動かそうと思ったらそこまでしなければならないのかもしれない。
私も、まさか、こんなにも直してもらえないとは思っていなかったし、家にいないことが多いので、修理屋さんを派遣すると言われた日程が全然都合が合わなかったりしたのでこんなにもずるずるとこの問題をあいまいにしていた。その後遊びに来てくれた友だちには本当、悪いなぁ、と思いながら、バケツでトイレの水を流す方法などをレクチャーしてやり過ごしてきた。人間、困ったことがあると、何とか知恵を働かせて乗り切れるものだなぁ、とすら思っていたのである。
台所の蛇口も水漏れがひどいので使うたびにいちいち元栓を閉めてコントロールしていたのだが、それもいろんな人にレクチャーして、この家の奇怪なルールを習得してもらうということで事なきを得ていた。本当、慣れと妥協とはすごい。けなげ。いや、たくましい。そう、こうして私のたくましさは日々培われているのである。
しかし、1年間も引っ張り続け、そして私はまじめに家賃を払い続けていて、いい加減やっぱり変だよなぁ、と思っていたところに上記の友だちの言葉である。
「あかんやん。」
そうなんです、あかんのです。
というわけで、①の直してくれるまで家賃を払わないという手段に出ることにした。大家さんに、「直してくれへんのん、ええ加減にしてもらわないと困ります。直してくれるまで家賃を払うつもりはありません」というメッセージを伝えたら、さすがに家までやってきて「ごめんな」と。
「身内に不幸があったからばたばたしてててさ。メッセージもらったのにちょっと対応できてなくてごめんな、来週にはするからさ、ごめんな、で、今月分の家賃払って。」
「頼みますよ、来週こそは……!」
と家賃を払った。
……ああ、払ってしまった!!しかし、身内に不幸とかあって気の毒やし、大変そうやったしな……と、あっさり督促に屈してしまった。
でも、その後本当に連絡をくれ(私が今まで携帯電話を持っていなかったのも、事態を遅らせた原因の一つではある。)、派遣日を伝えてきてくれた。
仕事からダッシュで帰り、修理屋さんを待ち構え、「さぁ、がんばって直しておくれよ」と迎え入れた。彼が手ぶらだったのは少々気になったが、約束通りきてくれてありがとうよ、と神様を迎え入れるような気持である。
トイレ、水道、台所の蛇口を「ふむふむ」とチェックしたかと思うと、
「よし、明日道具を持ってきて直すから!!4時半でどうだ!?」
との提案。そう、逆に提案されてしまったのである。
「まじでか、だから、その時間は働いているのだよ」と言ったけれど、このチャンスをだめにしてしまったら次はまた何週間、何か月先になるかわからない。意を決して上司に早退をお願いする電話をしたら、そこはあっさり「OK」サインを出してもらうことができた。そして、今日にいたっては
「おい、早よ帰れ。修理屋くるんやろう??」
と声をかけてもらえたくらいである。ありがたい。
そして家についたらこれまた時間通りにやってきた修理屋さん。今買ったきたよ感丸出しのホームセンターの袋に必要な部品を入れてやってきたのである。
トイレを修理しているのを横で眺めながら、お決まりの「何歳?」「結婚してるん?」「メキシコの男性は好きか?」というくだりを一通り経て、このブログを書いているのだ。
トイレは手際よくさっと直してくれ、水道の緩んでいたパッキンも取り替えてくれてバストイレは完璧。そして、
「うっぎゃーーー」
と困った声が聞こえたなと思ったら、台所の蛇口が予想以上に古くて直せるかどうかびっくりした心の声が漏れてしまったようだった。叩いたり、ガチャガチャやってる音が背中で聞こえる。
4時半に帰ってきたから6時半の待ち合わせには間に合うだろうと思っていたのだが、今6時半。
さぁ、どうなる……。
もし私が以前よりも忍耐強くなっているとしたら、こういう日常が私を鍛えているのだと思ってほしい。
少し前に友だちに連絡した際(うっぎゃーーー、の前。)に「たぶん6時半には行けると思うからちょっと待ってて」とメールしたのに対して、「1時間後くらい(7時くらい)にいくわ」との答え。さすがだな、メヒコ人。私が見積もった時間よりもさらに余裕を持って対応してくれている。すごいな。
しかし、当の修理屋さん、
「部品足りひんから、ちょっと買いに行ってくる」
と出て行ってしまったけど……。予想を軽く超えてくるなぁ。いやぁ、外国に暮らすのは難しい。はは。
月~土曜日働いている私にとって、平日のこの時間に家にいるなんて言うことはまずなく、震えるほどにうれしい。
いや、別にうれしいわけではないけどちょっとくらい小躍りしたいくらいのうきうき感は否めない。
別ににやにやするために早退させてもらったわけではなく、見張りをしているのである。
昨年、とよこちゃんが遊びに来てくれていた時のこと。急にトイレが使えなくなってしまった。使えるのだが、タンクに水がたまらなくなってしまったのだ。何度か大家さんにトイレが壊れた旨伝えたのだが、「今度修理のものをよこすぜ」と言ったきり、何事もなく。実際には修理のおっちゃんが来たらしいのだが、私が家に不在だったりなんだりでおおかたこのたび「トイレ使えなくなって1周年」をむかえそうだったところ、メヒコ人の友だちにその話をしたら、
「あかんやん。そんなん、家賃払ってる場合ちゃうで。」
と言われた。そして彼女のアドバイスは2つ。
①直してくれるまで家賃を払わない。
②勝手に直してかかった費用を家賃からひいて家賃を払う。
多少強引ではあるが、人を動かそうと思ったらそこまでしなければならないのかもしれない。
私も、まさか、こんなにも直してもらえないとは思っていなかったし、家にいないことが多いので、修理屋さんを派遣すると言われた日程が全然都合が合わなかったりしたのでこんなにもずるずるとこの問題をあいまいにしていた。その後遊びに来てくれた友だちには本当、悪いなぁ、と思いながら、バケツでトイレの水を流す方法などをレクチャーしてやり過ごしてきた。人間、困ったことがあると、何とか知恵を働かせて乗り切れるものだなぁ、とすら思っていたのである。
台所の蛇口も水漏れがひどいので使うたびにいちいち元栓を閉めてコントロールしていたのだが、それもいろんな人にレクチャーして、この家の奇怪なルールを習得してもらうということで事なきを得ていた。本当、慣れと妥協とはすごい。けなげ。いや、たくましい。そう、こうして私のたくましさは日々培われているのである。
しかし、1年間も引っ張り続け、そして私はまじめに家賃を払い続けていて、いい加減やっぱり変だよなぁ、と思っていたところに上記の友だちの言葉である。
「あかんやん。」
そうなんです、あかんのです。
というわけで、①の直してくれるまで家賃を払わないという手段に出ることにした。大家さんに、「直してくれへんのん、ええ加減にしてもらわないと困ります。直してくれるまで家賃を払うつもりはありません」というメッセージを伝えたら、さすがに家までやってきて「ごめんな」と。
「身内に不幸があったからばたばたしてててさ。メッセージもらったのにちょっと対応できてなくてごめんな、来週にはするからさ、ごめんな、で、今月分の家賃払って。」
「頼みますよ、来週こそは……!」
と家賃を払った。
……ああ、払ってしまった!!しかし、身内に不幸とかあって気の毒やし、大変そうやったしな……と、あっさり督促に屈してしまった。
でも、その後本当に連絡をくれ(私が今まで携帯電話を持っていなかったのも、事態を遅らせた原因の一つではある。)、派遣日を伝えてきてくれた。
仕事からダッシュで帰り、修理屋さんを待ち構え、「さぁ、がんばって直しておくれよ」と迎え入れた。彼が手ぶらだったのは少々気になったが、約束通りきてくれてありがとうよ、と神様を迎え入れるような気持である。
トイレ、水道、台所の蛇口を「ふむふむ」とチェックしたかと思うと、
「よし、明日道具を持ってきて直すから!!4時半でどうだ!?」
との提案。そう、逆に提案されてしまったのである。
「まじでか、だから、その時間は働いているのだよ」と言ったけれど、このチャンスをだめにしてしまったら次はまた何週間、何か月先になるかわからない。意を決して上司に早退をお願いする電話をしたら、そこはあっさり「OK」サインを出してもらうことができた。そして、今日にいたっては
「おい、早よ帰れ。修理屋くるんやろう??」
と声をかけてもらえたくらいである。ありがたい。
そして家についたらこれまた時間通りにやってきた修理屋さん。今買ったきたよ感丸出しのホームセンターの袋に必要な部品を入れてやってきたのである。
トイレを修理しているのを横で眺めながら、お決まりの「何歳?」「結婚してるん?」「メキシコの男性は好きか?」というくだりを一通り経て、このブログを書いているのだ。
トイレは手際よくさっと直してくれ、水道の緩んでいたパッキンも取り替えてくれてバストイレは完璧。そして、
「うっぎゃーーー」
と困った声が聞こえたなと思ったら、台所の蛇口が予想以上に古くて直せるかどうかびっくりした心の声が漏れてしまったようだった。叩いたり、ガチャガチャやってる音が背中で聞こえる。
4時半に帰ってきたから6時半の待ち合わせには間に合うだろうと思っていたのだが、今6時半。
さぁ、どうなる……。
もし私が以前よりも忍耐強くなっているとしたら、こういう日常が私を鍛えているのだと思ってほしい。
少し前に友だちに連絡した際(うっぎゃーーー、の前。)に「たぶん6時半には行けると思うからちょっと待ってて」とメールしたのに対して、「1時間後くらい(7時くらい)にいくわ」との答え。さすがだな、メヒコ人。私が見積もった時間よりもさらに余裕を持って対応してくれている。すごいな。
しかし、当の修理屋さん、
「部品足りひんから、ちょっと買いに行ってくる」
と出て行ってしまったけど……。予想を軽く超えてくるなぁ。いやぁ、外国に暮らすのは難しい。はは。
コメント
コメントを投稿