インフラ、今度はドア

先日、といってももう1か月くらい前の話になるけれど出かけようとドアを開けるとドアノブが取れた。

前々から怪しいなとは思っていたのだが、あんなふうにポロリと取れるとは予想していなかったから笑ってしまった。近所のドアノブを売っているお店に行って話を聞いたり(人によっていうことや値段が違うので何件かに聞いて回る)、友だちに相談したりしてなんとかアルミニウム屋さん(アルミのドアなどを取り付ける人らしい)に来てもらってドアノブは新しいものに取り換えられた。

せっかく直ったので、というか、せっかく専門家が来ているのでドアの立て付けが悪いことを話してみた。そう、このドアは入るのにコツがいったのだ。ノブを回しながら足で下の方を蹴りながら開けなければならないという技というかコツというか、生活の知恵とでもいうのだろうか。

もう片方のドアにある部品を変えたら直るから、ということだったのだがその後またほったらかしにしていた。アパートのケアをしてくれる女の子がいるのでその子にも話していたら、他のアパートの部屋も直さないといけないことがあったからということで水道屋さん兼電気屋さん(この人こそが去年くらいにキッチンと洗面所を直して呉れたおっちゃんである)がやって来ていたので私のドアもチェックしてくれた。

ドアが重すぎるので負荷がかかって傾いているとの診断で、これは彼の領域外なので何やら電話をかけて違う人と話し始めた。

かと思うと、40分後くらいにアルミ屋さんが来るから、と言ってひとまず去っていった。

1時間くらいしてから部屋をノックされたと思ったら、おっちゃんともう一人の背の高いおっちゃんがドアの前にいて、

「さぁ、ドアを見せるのだ」

と診断が開始された。まぁ、二人いるから私は自分の作業を続けようと机で働いていると「せぇのっ。ふんっっ」と気合の入ったおっちゃん2人の声がする。


ふりかえるとドアが外されていた。本当に、毎度毎度のことながらメヒコ人の機動力の高さを見せつけられる。


大きなバケツの中に工具を色々もってやって来て、インパクトなんかもさっと出てくるから驚きである。

携帯で手元を照らしてもらいながら、アルミ屋のおっちゃんは何の躊躇もなくアルミを削っていった。こうなってくると作業を見るのが面白いから自分のしていたことなんてそっちのけである。

あれよあれよと穴をあけて、ついていた部品を付けなおして「せぇのっ、ふんっっ」と再びドアは元あったところに戻された。すると、今までのあの苦労して会得したコツは何だったのかと思うくらいに、軽々とドアが開閉できるようになっていた。おおおお、さすが職人、すごい!!

こういう職人さんは個人で働いている場合が多いので、仕事があったり呼び出されたらこうして機動よくやって来てくれる。そして、自分の情報の名刺を置いていく。そして「また何かあれば呼んでおくれ」、と去っていくのだ。おもしろいのが、どこのだれかわからないような人に頼むよりは、友人や知り合いの知っているおっちゃんに頼むという構図があるという点だ。自分がもう知っていて信頼のできるおっちゃんの紹介する人は信頼できる、というわけだ。どこの国もコネクションというか、知り合いのネットワークというのは強いし大事だなぁと感じる次第である。そして、口コミ、これに尽きる。

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