日本、備忘録


3月の中旬から日本に行ってきた。前回の一時帰国から1年も経っていないこのタイミングになったのは版画家の友だちを連れて日本をまわろう!!そして桜を見よう!!それからチャンスがあれば展示をしよう!!というノリから始まったからである。(桜に照準を合わせた。)

思い返せば去年の10月。オアハカで知り合ったみりちゃんとりゅうたろうくんという日本人の友だちが日本に帰る前にもう一回オアハカに来ている、というので一緒にお茶をしていた時のこと。「メヒコ人を日本に連れていけたらぜったいおもしろいよなぁ」と言い出したのが始まりだった。彼らは両方美大を出ていて、みりちゃんはパフォーマンスアーティストでりゅうたろうくんは画家だった。みりちゃんのパフォーマンスアーティストの師匠が外国からアーティストを招聘してツアーのようなことを毎年しているのだそうで、その話とかを聞きながら、「自分らでできたらめっちゃおもろい」ということになり、その足で日ごろから「日本に行ってみたいなぁ~」と半分冗談半分本気で言っているような友だちのもとに向かってこの計画を話したのだった。

なんでも言ってしまったあとには行動を伴わさざるを得ない、というか、そういう流れができてくるので、あとは流れに身をゆだねつつチケットを買ったり、一方でせっかくだから彼らの作品を日本の人たちに見てもらえる機会をつくろうと展示を計画したりした。その辺はすでに日本に帰国していた2人に任せっきりになってしまったのだが、さすが美術関係のエリアにいるだけあり短期間のうちになんと2か所での展示ができることとなった。東京のものすごく素敵なギャラリーと、高知では博物館での展示で、そうなるとDMやらお知らせやらの展示関係のもろもろ、ルーティングや宿の手配など、直前の準備はなかなか忙しいものとなった。

がんばったかいもあり、協力してくださったすべてのみなさん、そして足を運んでくれた友だちなどのおかげでこの怒涛の3週間のツアーは無事に終わることができた。いやぁ、ほんまありがとうございました!!毎日が濃くてバタバタと忙しく過ぎていったのですが、今回はその内容の振り返りではなく、短期間に日本のいろいろな街を旅した感想を備忘録がてら書き留めておきたいと思う。

1)東京
相変わらず駅の工事中にも目が行ったけれど、それよりも驚いたのは外国人労働者の急増である。東京には1週間くらいいたのだが、そんなに長い間東京にいたのは久しぶりで外食もチェーン店なども多く利用したからか、外国人のバイトを本当にたくさん見た。東京の友だちに言わせればそれはもはや「普通」らしいのだが、日本人の労働人口が本当に減ってきているのかというのを目の当たりにしてなんかものすごい衝撃だったのである。チェーン店の飲食店にはもれなく、という感じでいて、店長すげぇ、と思った。

2)京都
ものすごく残念だったけど、京都はもはや観光客に疲弊している感じがした。関空にアジアからのLCCの発着が多いから、アジアからの観光客が近年急増しているというのは知っていたけど本当に多いな、という印象を受けた。バスは超絶混んでいるし、観光地へ行っても人・人・人。そんなことよりも驚いたのは京都で働く人たちの「もうええ加減にしてくれ」感である。タクシーに乗ろうと思っても、バスに乗っても、屋台でものを買おうにしてもとにかく対応の不親切さが目につく。もちろん全員ではない。ものすごく優しい対応をしてくれる人たちもたくさんいた。しかし、悪い印象というのはやはりでかく心に残る。

荷物が多いので小型の中でも大きいタイプのタクシーを待っていたら、「これは小型やから無理。乗らへん」とスルーされたり、多くの外国人観光客を含んだばば込みするバスの中「もっと中入って。詰めて。ドア閉められへんから」と怒り口調で日本語のみでのアナウンスをする車掌も多く見受けられてこれにはさすがに閉口してしまった。いくら日本語で怒って言ったところで伝わらないでしょうに。バスの乗り場を訪ねたら教えてくれたものの「そこにもう来てるやん」とこれまたけんか腰。国際的観光都市京都のはずなのに、全く持って日本語を理解しない人たちに向けての配慮とやさしさが感じられなかったのが残念だった。京都も昔はこんな感じではなかったのに、増え続ける観光客とそのマナーの悪さが京都の人たちを疲れさせているのだとしたらなんて悲しい悪循環なんだ。

東京、京都といった日本を代表する都市で感じたのは外国語表記が「英語・中国語・韓国語」のみで、そのいずれも話さないスペイン語ユーザーにとっては日本を旅するのは結構難しいだろうな、と思った。普段はそんなことを感じないけど、メヒコ人の友だちと旅をしていてそんなことをふと思った。もちろんすべての外国語を表記するわけにはいかないし、外国では日本語表記がある国はほとんどないので「せめて英語はわかっておいた方がいい」というのは重々承知だけど、スペイン語圏の国は結構多いので、この両都市でスペイン語表記をほぼ見かけなかったというのには驚きである。

3)奈良
京都から1日だけ足を延ばした奈良。外国人観光客がここも多いが、街の感じは京都よりも穏やかでウエルカムなイメージを受けた。

4)姫路
姫路城に行ったときにこの度初めてのスペイン語表記のパンフレットを発見。スペイン語のみならず、スウェーデン語、タガログ語、タイ語、ロシア語などものすごい数の言語をカバーしていて、これにはおどろいた。そこまで需要があるとは思えない言語までわざわざ作ったのか、すごいな。そしてこれは姫路っぽいとも思った。姫路城という観光資源がありながら(むしろそれしか活用できていない悲しさもある我が町姫路。)、外国人観光客たちは京都や大阪に拠点を置きながら1日だけ足を運ぶというスタイルをとられることが多いゆえ、いまいち町が盛り上がりに欠けるというということで、やはりこの街も「観光客のみなさん~!お待ちしておりますよーー!」という両手を広げた感じがバシバシ伝わってきた。

5)高知
外国人をほとんど見かけなかった高知。でも高知の人たちはとてもやさしくて、食べ物もおいしくておいしかった思い出の余韻が残っている。

6)大阪
年々増える爆買い集団のことは知っていたが、ここにきて大阪の町が彼らの方にすり寄る感じがすごいな、と思った。あらゆるところで目にするTAX FREEの表示。薬局などには中国語OKと看板を持った中国人のバイトの人が立っている光景も。商人魂というか、順応性というか改めて東京と大阪の違いのようなものを感じてしまった次第である。


振り返って、この短期間でこんなにたくさんの場所を駆け抜けたのかということに改めて驚いているけれど、各都市本当様々だ。それと同時に日本も変わってきているのだな、と感じるばかりである。旅をしていて、この旅の一団を受け入れてくれた人たちは本当に優しくてどこへ行っても好意的に受け入れてもらえたけど、ただのいち観光客でうろうろしていた時はどこのどいつかわからんよそものというちょっと冷たい印象を受けた時もある。東京五輪に向けてこれからもっと外国人が増えるのだろうけど、日本人の国際化が進めばいいなと思う。内とか外とかいう感覚ではなく、そこにいてる人をそのままに受け入れる器のでかさというかそういう感覚としての。

驚きと願いの備忘録までに。笑

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